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「音楽の館」 |
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中古オーディオ機器販売・修理で知られる福岡市のプロショップA&Pの新しい試聴室「カーサ・デラ・ムジーカ」が、今年5月に完成した。
「カーサ・デラ・ムジーカ」とはイタリア語で「音楽の館」。同社社長の亀岡政茂氏の生家であるお茶問屋の蔵をを改造したものだ。この蔵は約120年前に建てられたもので、明治の商家の姿を残した文化財級の建築物だったが、平成17(2005)年3月の福岡県西方沖地震で被害を受けたことを機会に、約1年の修復期間を経て、試聴室として誕生した。
天井の高さは4m、広さは15坪(約50mm2)、内装は天然木なので、ライブな中にも適度な吸音があり、音響的に非常によい環境である。
試聴は完全予約制で、すでに週末は予約が集中している。単にオーディオ機器を並べるだけでなく、音楽を生かす時間と空間を提示するのがカーサ・デラ・ムジーカの目的だ。完成以来、「ご夫婦で試聴される方が圧倒的に増えました」と亀岡氏。オーディオ機器によって、普段聴いている音楽がどれだけ感動的になるかを、オーディオマニア以外の音楽ファンにも広く伝えるという亀岡氏の意図は伝わりつつある。
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ポリシーを持った修理 |
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(中略)オーディオ関係の中古機器の販売と修理が同社の大きな柱で、特にその修理技法には定評がある。
これまでも独自の技術チームが修理に当たっていたが、近年は副枝暎覚氏を技術最高顧問に迎え、「真空管とオーディオ機器で修理できない物はない」といえるまでになったという。スピーカー、アンプの修理はもとより、トランスの巻き替えやアームの修理からDAコンバーターなどのデジタル機器の修理まで、多岐に及ぶ修理ができる体制が整っている。
しかし、同社はやみくもなフルオーバーホールを勧めるのではなく、オリジナルのサウンドを守る最小限の修理を推奨する。長年使ってきて愛着のある機器は、できるだけ元のままにするという考えだ。そうすれば修理費用は安いもので、こまめにメンテナンスができるという一石二鳥でもある。(後略)
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スピーカーエッジキット |
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もうひとつのユニークな取り扱い商品として、スピーカーエッジの張り替えキットがある。ウレタンエッジと専用接着剤などがセットとなったもので、メインの対象はJBLやタンノイのユニットだが、それ以外のものにも相談に応じる。
金型は自社制作のオリジナル設計で、ウレタンの材料はアメリカ製、エッジは加水分解に強いように熱処理がなされているので耐水性が高く、厚手なので低音のダンピングが向上するという。
価格はJBLの25cmエッジキットが13,000円、JBLの38cmフルセット(エッジ+ガスケット+着色剤+センターキャップ)が一式20,000円(いずれも税込み)、センターキャップの単体売りなどもある。(後略)
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総合オーディオセンターへ |
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以前は、福岡市博多区下呉服町にテクノセンターがあり、在庫品の展示なども行っていたが、いずれはその機能をカーサ・デラ・ムジーカのある中央区舞鶴の綜括本部に移転する予定。倉庫機能も舞鶴に移転するので博多の街に大型の総合センターが誕生することになる。
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掲載につきましては、『MJ』誌より承諾を戴いています。
尚、記事は2007年8月時点でのものであり、現在とは若干異なる箇所があります。ご了承下さい。
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